2003/05/23  「野生の王国」

グルルルル・・腹が鳴る。

俺の後ろには腹を空かせた小さな子供達がいる。
2、3日何も食っていなければ女房も俺も同様に空腹だ。
「獲物は必ずやってくるとか、目の前に現れる」と思ったら大間違い。
俺は野を駆け山を越え川を渡り獲物を探さなければならない。

朝もやの中、一匹の野うさぎを見つけ、足音を消して忍び寄る。
体格の差5分の1。スピード3分の1。差は歴然。
次の瞬間一気に飛びかかり野うさぎの首元に全力でかぶりつく!
相手が小さかろうと遅かろうと一切の容赦はない。
むしろ弱ければ弱い分、短時間で絶命させる。それが作法だ。

待ちわびた子供達はそれらを一気にたいらげる。
女房に一切れ食わせ、俺はまた狩に出かける。

日暮れに一頭のマンモスを発見。
体格の差10倍、スピード5分の1、力の差100倍。
こいつをしとめたら家族は6ヶ月裕に暮らせるだろう。
でも俺は格闘の末絶命するかもしれない。狩は中止だ。
我が子に狩を教えるまでは死ぬ訳にはいかない。
賢考あっての勇気、教えあっての親でなくてはならない。

翌朝よく肥えたバイソンを発見だ。
雄には決して負けられない瞬間というものがある。
魂を呼び覚まし、雄叫びをあげ、一心不乱で身を投じる瞬間だ。
獲物のノド元めがけて喰らいつき弱まるまで決して離さず・・。
流れるは涙よりも多い。


野生に返れ。そして子供達に教えよ。
エサではなくて「獲物」を狙えと・・。




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